本記事は、当社に実際に寄せられたM&A・事業承継のご相談をもとに、相談者や企業を特定できないよう、内容の一部を加工・再構成して掲載しています。相談時の課題や検討内容をご紹介するものであり、個別案件の成約や同様の結果を保証するものではありません。
量産樹脂部品と二次加工に対応する射出成形会社のM&A・事業承継について寄せられたご相談です。
金型の所有者と、成形を続ける条件を分ける
金型の所有関係と保全履歴が曖昧な状態を、承継に向けて整理したいというご相談です。工場に金型があることだけで、譲渡後も利用できるとは判断せず、顧客との取決め、保管場所、修繕の担当を一つずつ確認します。量産品を続けるための成形条件と、設備更新の検討も別の資料で整理します。
検討資料と、それぞれの確認事項
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 金型台帳 | 所有者、使用する品番、保管場所と修繕負担について確認できる資料を対応させる |
| 保全・修繕履歴 | 使用中の金型と、修理や更新の検討が必要な金型を分ける |
| 成形条件表 | 材料、設備、段取りの情報と、条件を調整できる担当者を整理する |
| 材料価格転嫁の履歴 | 材料費の変動と顧客への価格改定を時期別に比較する |
候補先との比較と、未決の条件
樹脂部品メーカーを候補先の業態として検討します。既存の量産品と二次加工を現工場で続ける案を基に、相手の設備で扱える製品や、追加投資が必要な工程を照合します。金型や成形条件の詳細は、顧客への義務と開示範囲を確認してから共有します。
主要顧客への供給継続と設備更新計画を比較条件にします。金型を使い続けるために何を確かめる必要があるか、更新投資を誰が検討するか、費用や時期が未決の項目はどれかを並べます。資料整理によって価格調整が抑えられたという効果は前提にしません。
引継ぎ担当と、残しておく未確認事項
現場責任者は成形条件と保全状況、営業担当は顧客との金型に関する取決めを整理します。担当者が別々に持つ情報を金型番号や品番で対応させ、条件変更や修繕の判断を誰が引き継ぐかを確認します。
ご相談で整理した確認事項
このご相談では、金型リスクを先に説明できることが検討の出発点です。台帳、成形条件、保全記録を組み合わせることで、所有・利用・維持という異なる論点を混ぜずに相談できます。
製造業M&A総合センターでは、譲渡企業様、つまり譲渡企業側からは着手金、中間金、月額報酬、成功報酬を含めて手数料をいただかない方針で相談を受けています。まだ売却を決めていない段階でも、工場・設備・従業員・取引先を守るために、どのような準備が必要かを確認できます。
